ブルガリアの中心、バラ祭りで有名なカザンラクの近郊のブズルジャ山の頂上にある建物。まるでUFOのような見た目です。
これは『ブズルジャ記念館』。
ブルガリアが共産国であった頃に建設されたモニュメントです。
周辺には小さな村しかない辺鄙な場所ですが、
・オスマン帝国に対する独立戦争の激戦地
・ブルガリア共産党結成の地
・枢軸国とレジスタンスの戦地
としてブルガリアの歴史で重要な位置を占める山でした。
自由と自己犠牲の象徴としてあがめられたこの山に、共産党政府はモニュメントを建設することを決定。1974年より工事が始まり、1981年に竣工します。記念館を見に国中から大勢の人が集まりました。
しかしながら、1989年の共産主義の崩壊とともに竣工から10年足らずで放棄されてしまいます。建物の金属などは盗まれ、無惨な廃墟となりました。

これぞレトロフューチャーといった見た目。
正面のドアと比べると結構大きいことがわかりますね。


鉄とコンクリで造られた建物は朽ちて穴だらけになっています。
建物内はモザイク画がほどこされていましたが、雨風に晒され風化してしまいました。

天井には『万国の労働者よ、団結せよ!』のスローガン。
廃墟となり、長い間忘れられていたブズルジャ記念館ですが、ソーシャルメディアで注目を集めると、廃墟好きや共産趣味者たちの観光スポットとして人気が再燃します。
ロックバンドのPVや、映画のロケ地にも使われるようになりました。
老朽化で危険なため、残念ながら現在は建物内に入ることは禁止されています。
そのデザインや史跡としての価値を未来に残すため、ブズルジャ・プロジェクト財団が設立され、保存運動を進めています。
毎年夏には財団主催で『OPEN BUZLUDZHA FESTIVAL』が開催。
記念館をスクリーンにしたプロジェクションマッピング、ライブ、ブズルジャ山ツアーなどが行われています。
バルカンのスポメニックとあわせて、共産史跡めぐりをしてみてはいかがでしょうか。

惑星ホスっぽい。