ピンクに塗られたソ連のIS-2(ヨシフ・スターリン重戦車)。
これはチェコにある『ピンク戦車』として知られるモニュメントです。
このモニュメントは、ナチス・ドイツからプラハを解放したソ連の功績を記念して、1945年にプラハの市内に建てられたものでした。建設当時は普通の緑色の戦車でした。
(余談ですが、旧ソ圏で見かけるモニュメントはT34中戦車が多く、IS重戦車なのはちょと珍しいですね)
チェコ(当時はチェコ・スロヴァキア)は戦後、クーデターにより共産党が実権を掌握し、ソ連の衛星国となります。しかし1960年に入ると、経済成長の低迷などを原因に民主化運動が盛んになり、1968年4月には、チェコ共産党が『人間の顔をした社会主義』を掲げ、自由化改革を進めます。これが有名な『プラハの春』ですね。
その運動を社会主義からの逸脱とみなしたソ連は、チェコに軍事介入を行い、チェコ共産党幹部を逮捕するという事件に発展しました。
1989年のビロード革命による民主化以後、IS戦車のモニュメントは『1968年のプラハの春に軍事介入したソ連を象徴するもの』として物議を醸すようになります。
そして1991年、事件が起きます。
美大生のダヴィド・チェルニーがこの戦車をピンクに塗りました。(そして砲塔に中指の像をくっつけました。)
チェルニーは逮捕され、戦車は緑に塗りなおされましたが、彼を支持する一部の国会議員たちがまたピンクに塗ります。
その後も戦車はピンクにされたり緑にされたりを繰り返したのち、最終的には撤去されましたが、ピンクの戦車は民主化の象徴として人々の記憶に残るものとなりました。
現在このピンク戦車は、プラハの郊外にある『レシャニー軍事技術博物館』に展示されています。
レシャニー軍事技術博物館はヨーロッパで最大級の陸上兵器の博物館です。
博物館の紹介はまた次回。


