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    コーカサス 最東端のローマ建築『ガルニ神殿』 2025-10-10



    アルメニアの首都エレバンから車で1時間ほどのガルニ村に、西暦1世紀に建設されたといわれる、『ガルニ神殿』があります。
    古代ギリシアの建築様式『イオニア式建築』で、 ガルニ神殿は『最東端にあるギリシャ・ローマ建築』と称されます。キリスト教化以前のアルメニアの宗教建造物として、ほぼ完全な状態で保存されている建物です。


    ガルニ神殿は西暦1世紀に、ティリダテス1世により建てられたと考えられています。

    当時アルメニアはローマと同盟国にありましたが、現在のイラン地域を支配していたパルティア帝国がアルメニアに侵入。ローマ・アルメニア同盟 対 パルティアの戦争となります。最終的には『ローマの従属国であるアルメニアにパルティア人の王を立てる』という折衷案で和平が結ばれ、パルティアの王子ティリダテス1世がローマ皇帝ネロによってアルメニア王として戴冠されました。

    和平の後、戦争で破壊されたアルメニア王国の首都アルタクサタの再建のため、皇帝ネロは5千万ドラクマ(1ドラクマが1日の労働者の賃金なので、今でいうと5,000億円くらい?)とローマの職人を派遣。その時にガルニ神殿も建設されたと言われています。

    ガルニ神殿は、太陽神ミフルを祀るための神殿として建てられたと考えられています。
    ミフルはアルメニア神話で火を司る神。最高神アフラマズド(ゾロアスター教の影響)の息子です。


    その後4世紀になり、アルメニア国王ティリダテス3世は世界で初めてキリスト教を国教化します。アルメニア各地にあった異教の神殿は破壊されましたが、なぜかこのガルニ神殿だけが破壊を免れます。隣に教会が建てられた跡があるので、意図的に残されたと考えられ、議論を呼んでいます。

    1679年の地震で崩壊しましたが、20世紀に発掘調査が行われ、掘り起こされた石材から神殿が再建されました。3分の1程度は現地で発掘された元々の石材を使用しています。


    アルメニアの山々をバックにそびえる古代の神殿。
    アルメニアの長い長い歴史が感じられるスポットです。
    エレバンに訪れた際には、ぜひとも足を延ばしてみてください。