2026年8月12日、アイスランド西部では皆既日食が観測できます。
地球と月と太陽が一直線に並び、太陽が月に完全に隠される大変珍しい天文現象です。
アイスランドで信仰されていた北欧神話にも、日食のことが言及されていますが、それは世界の終わりを告げる凶兆とされていました。

北欧神話は、9世紀にスカンジナビア半島からアイスランドへ入植した人々により伝えられました。
北欧神話の文書化された記録の大部分はアイスランドで編纂されたものであり、北欧神話を読み解くうえで重要な役割を果たします。学術的な研究はもちろん、ワーグナーの『ニーベルングの指環』やトールキンの『指輪物語』など、後世の作品に大きな影響を与えました。
さて、北欧神話において日食は、世界の終焉『ラグナロク』の前兆であると伝えられています。
太陽(太陽神ソール)と月(月の神マーニ)は、大狼フェンリルの子である二匹の狼、スコルとハティに追いかけられ、常に馬車を走らせ逃げ続けています。
二匹の狼が太陽と月に追いついたとき、ラグナロクが始まります。太陽と月は狼に飲み込まれ、世界は闇に包まれます。天からは星が落ち、大地は崩壊。地上のあらゆる命が巻き込まれます。
日食や月食は、狼が太陽と月を飲み込もうとしているまさにその瞬間であると考えられていました。

そしてラグナロクが起きる日、敵対を続けていた神族と巨人族との間で最終戦争が勃発します。神の国も、人間の国も世界のすべてが戦火に焼き尽くされ、海に沈みます。
やがて海中から緑をなす大地が現れ、再び世界が1から始まる、と言われています。

北欧神話を信仰する人々にとって、日食は世界の終わりを告げるものでした。日食が起きると、人々は鍋などをたたいて大きな音を出し、狼が驚いて太陽を吐き出すように祈ったそうです。
2026年の日食は、アイスランドで起きる約70年ぶりの皆既日食です。
アイスランドの広大な自然の絶景のなかで、神話の世界に思いを馳せながら見る日食は、きっと忘れられない思い出となることでしょう。
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